太陽光発電設備に関する検討委員会での提言内容が決まりました!

昨日、第10回目の太陽光等再生可能エネルギー発電設備に関する検討委員会が開催されました。

委員会のメンバーは以下の通りです。
【市民委員】
鎗野達男
学正博次
弘田由美子
塙喜一郎
渡部義明
三浦剛
長田富丈

【発電事業者】
金丸正幸(株式会社カナマル役員)
佐々木周(自然電力株式会社部長)
大友晢(山梨自然エネルギー発電株式会社代表取締役)

【学識経験者】
篠原充(一般社団法人山梨県一般廃棄物協会代表理事会長)※委員長
坂本清彦(株式会社ケミトックス取締役副社長)※副委員長
松本真由美(東京大学客員准教授)
佐藤長英(弁護士)→松平定之(弁護士)※佐藤氏が体調不良により途中で交代

【市議会議員】
加藤紀雄(ほくと未来)
相吉正一(明政クラブ)
志村清(日本共産党)
井出一司(北杜クラブ)
進藤正文(公明党)
栗谷真吾(ともにあゆむ会)

※敬称略

去年の10月に第1回目の検討委員会が開催されてから早くも1年が経ちましたが、ようやく
最終的な提言をまとめて市へ報告するところにまで議論が進んできました。

ここに至るまでには、検討委員会のメンバーとして出席してくれていた市民委員の7人が現地視察、
そして提言(案)の作成など、多大なるご尽力があってこその結果なんだと、心の底から思います。
特に、北杜市太陽光発電を考える市民ネットワークの共同代表である弘田さんには、
様々な情報提供、また委員会の中で出た疑問点などにも的確に答弁して頂き、本当に感謝しています。

様々な議論があった訳ですが、最終的には市民委員7人が作成してくれた提言(案)の内容で
市に提言をしよう、ということで全員一致でまとまりました。
これから新しく作られる予定の太陽光発電設備に対する規制と、既に建てられている太陽光発電設備についての対策(項目の10番。法律と照らし合わせる中でできるであろう最大限の策)が盛り込まれた内容です。
内容は以下の通りです。
※重要だと思う箇所にはラインや色をつけています。
(最終的な文言は多少変更となるかもしれませんが、内容に大きな変更はありません)




太陽光等再生可能エネルギー発電設備に関する検討委員会 提言書

北杜市の恵まれた自然環境は、豊かな住環境、農業、林業及び観光業等を支える貴重な資源であり、
将来にわたって守るべきものである。
・南アルプス国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園、秩父多摩甲斐国立公園を有する。
・富士山を間近に望むことができる。
・豊富な森林と水資源がある。
・日照時間が長い。
・標高が高く、湿度の低い冷涼な気候である。
・大都市(東京、横浜、名古屋等)からのアクセスがよい。

北杜市は地球温暖化対策の代替エネルギーとしての太陽光発電や水力発電など、
地球の特性を活かした再生可能エネルギーの導入を進めてきた。
しかし、現在、北杜市内では山林や住宅地など、随所に太陽光発電設備が設置され、
北杜市の貴重な自然環境、景観が破壊されるとともに、
大量の森林伐採や危険地帯(砂防指定地等)への設置により、住民の安全が脅かされる事態となっている。
北杜市は移住先・保養地・観光地としての価値が高いだけに今後失われる経済価値、
不動産価格の低下も深刻な懸念材料である。

これまでは北杜市太陽光発電設備に関する指導要綱、北杜市景観条例、
山梨県太陽光発電施設の適正導入ガイドラインにより市は事業者に対して指導を行ってきたが、
任意協力を求める行政指導にとどまる要綱とガイドライン、
また明確な設置基準が示されない景観条例のみでは市職員の指導も限界がある。
その結果、今日の乱立状態がもたらされ、また今後も多数の未稼働案件があることから、
将来にわたってもこの状況が続いていくことが想定される。

検討委員会としては、法的拘束力を持ち実効性のある太陽光発電設備設置に関する規制条例を制定し、
適切に運用することが急務であると考える。
条例の制定にあたっては、これまでの市内における設置状況、住民の被害状況及び
将来発生する可能性が極めて高いリスクを検討した結果、
現行の北杜市太陽光発電設備設置に関する指導要綱の内容に加えて、
以下の骨子を網羅した条例とするように提言する。
なお、市長及び市議会は、条例の制定にあたって、10回に及んだ20名の検討委員会の
審議の結果としてまとめられたこの提言を最大限尊重することを求める。

1.対象は太陽光発電設備出力が10kW以上及び太陽電池出力10kW以上の設備
(複数分割案件については一団として合計出力とする)で、条例施行日以降に設置を行おうとするもの。
(FIT法第9条第3項の認定を受けた設備以外の設備も含む)
①分割案件は次のいずれかにあたる場合には、一団とみなす。
a.同一事業者
事業者名義が異なる場合でも家族、グループ法人および法人の関係者
b.異なる名義であっても、明らかに共同性が疑われる場合。
c.地権者が同一である場合。
条例施行時に設置済み設備については、適正な猶予期間をもって、改善を行うよう別途定めるものとする。

2.発電設備の設置は、許可制とする。
災害危険の有無、自然環境、生活環境および景観への影響、設置から撤去に至るまでの計画が本条例
および関係法令を遵守したものであり適正であるかを判断するための明確な許可基準を定め、
北杜市はそれに基づき厳格に判断するものとする。
また、許可基準各項目についての判断結果は、公開するものとする。
但し、建築物の屋根に設置する太陽光発電設備については、設置届とする。

3.発電事業者に対して、事業の計画段階での周辺住民等
(住民、土地所有者等、設置により影響を受ける物全て)への事業計画の周知義務と、
周辺住民等との合意形成のための最大限の努力義務を課す。
①計画段階で、事業計画地の公道より見えやすい場所に発電設備設置計画を示す標識を設置すること。
条例施行時に既に認定取得済み(みなし認定を含む)の事業計画地には、
条例施行後60日以内且つ説明会開催日の30日前までに標識を設置すること。
標識:名称、所在地、発電出力、発電事業者および保守点検責任者の氏名、
住所および連絡先電話番号、設置工事開始予定日、運転開始予定日を記載したもの。
FIT認定設備については設備IDも記載すること。
事業者による事業計画説明会の開催を義務とすること。
説明会の議事録、周辺住民等からの意見および要望に対する対応等を明記した説明会開催結果報告書を、
市への許可申請時に提出を義務づけること。
③事業計画説明対象者(周辺住民等)の定義
事業計画地の敷地境界100m以内の住民および土地・建築物所有者を最低限度として、
設置により影響を受けると考えられる合理的な理由のある全ての住民、
土地および建築物所有者、および地域住民団体(行政区および自治会等)の責任者。

但し、建築物の屋根に設置する太陽光発電設備については、上記①~③は除外し、反射光の影響がある場合にのみ該当する住民への説明を行うものとする。

4.防災上危険な地域および貴重な自然環境や景観として守るべき地域を定め、禁止区域とする。
但し、建築物の屋根に設置する太陽光発電設備については、除外する。
設置禁止区域:国立公園、国定公園、保安林、砂防指定地、土砂災害特別警戒区域、
土砂災害警戒区域、その他北杜市の指定する区域(例:水源地域等)

5.設備設置にあたっての残置森林率、植栽の設置基準、間隔距離、
および発電設備の高さ制限を明確に定めること。
但し、建築物の屋根に設置する太陽光発電設備については、除外する。
【山岳景観形成区域】
①敷地境界から5m以上(営農型発電設備の場合には、太陽光発電設備の高さの3倍以上)の幅の面積
または敷地周囲に全敷地の25%以上のどちらか大きい方の面積に残置森林もしくは造成森林を設けること。
◎隣接地に住宅がある場合には、敷地境界から10m以上
(営農型発電設備の場合には太陽光発電設備の高さの6倍以上)に残置森林もしくは造成森林を設けること。
②防護柵の外側に常緑樹で植栽を施すこと。
植栽は、設置工事完了時に発電設備および防護柵と同じかそれ以上の高さのものとし、
隣接地および周辺地域より設備を概ね見通すことができないようにすること。
③太陽光発電設備の高さ(太陽光モジュールの最高点までの高さ)は、
地盤面から垂直距離で1.5mを超えてはならない。
但し、営農型発電設備の場合は、除外する。

【田園集落景観形成区域】
①敷地境界から発電設備までの離隔距離を5m以上(営農型発電設備の場合には、
太陽光発電設備の高さの3倍以上)とし、防護柵の外側に常緑樹で植栽を施すこと。
植栽は、設置工事完了時に発電設備および防護柵と同じかそれ以上の高さのものとし、
隣接地および周辺地域より設備を概ね見通すことができないようにすること。
◎隣接地に住宅がある場合には、敷地境界から10m以上
(営農型発電設備の場合には太陽光発電設備の高さの6倍以上)の離隔距離をとり、緑化を行うこと。
②太陽光発電設備の高さ(太陽光モジュールの最高点までの高さ)は、
地盤面から垂直距離で1.5mを超えてはならない。
但し、営農型発電設備の場合は、除外する。

6.北杜市は、危険な設置工事防止のための事前確認を行うこと。
但し、建築物の屋根に設置する太陽光発電設備については、除外する。
①架台のJIS規格遵守を担保するため、設置許可申請時に標準仕様で設計したことを
確認できる文書若しくは強度計算書の提出を義務付けること。
尚、標準仕様で設計を行う場合であっても、高さ制限内に収まるようにすること。
分割案件および複数事業者が隣接して事業を行うことによる林地開発逃れを防止するために、
北杜市は設備設置許可申請受理時に必ず資源エネルギー庁の自治体への認定情報の提供により
広域的に周辺の設備状況を確認し、合計面積が1haを超えないことを確認する義務を負うこと。

7.パワーコンディショナーは、騒音、低周波音および電磁波による住民への被害を最小に抑えるために、
周辺に建設済み、建設中および建設計画か確定している住宅から最も遠い事業敷地内の場所に設置すること。

8.北杜市は、設置工事終了後に許可内容通りに工事が行われたことを現地確認した後に
完了通知を事業者に発行するものとする。
事業者は完了通知を受理するまでは、発電設備の運転を開始してはならない。

9.設備の売却、事業継承等により事業者が変更した場合には、
北杜市への届出と標識の変更を30日以内に行うことを義務化すること。
標識とは、設備着工前において設備着工後は資源エネルギー庁事業計画ガイドラインの
定めによる標識である。

10.条例施行時に設置済みの設備については、適正な猶予期間を定めて土砂災害、
水害等の災害危険要因の解消、電気設備の技術基準への適合
(太陽電池アレイ用支持物設置基準JISC8955と同等の強度であること)、
条例で定める植栽の設置および高さ制限に合致するようにすること。
但し、高さ制限については、JISC8955と同等の強度計算に基づく設備であって
且つ次の事項に当てはまる場合には除外する。
①隣接住宅がある場合に敷地境界から10m以上の離隔距離がある場合
②隣接住宅がない場合に敷地境界から5m以上の離隔距離がある場合

11.条例に違反した場合には、氏名の公表および罰則を科すこととする。



以上の内容+松平委員(弁護士)の意見も添えて、検討委員会から市(市長)へ提言します。
この提言を受けて、市として条例化も踏まえて議論がおこなわれることになります。
検討委員会では市職員も現在の要綱などだけでは指導に限界があると述べていること、
また、北杜市の現状を踏まえてこれから作られるであろう太陽光発電設備に対して
厳格なルールを定める必要があることが共通認識となったことから、
法的拘束力のある条例を作るべき、との結論に至っています。
それも可能な限りスピーディーに。
太陽光発電設備の工事が終わってから条例ができても、何の意味もありません。
委員会の過程においても多くの委員がスピード感を持って対応すべきだ、と発言しています。
その想いを市は、そして渡辺市長はどう受け止めて対応していくのでしょうか。
今後の動きをしっかりと注視していきます。

尚、市民委員から提案のあった
・条例案の策定プロセスにおいて、条例案作成後のパブリックコメントのみではなく、
条例案作成完了前に市民の意見を聞く場を設けること
・関連する幾つかの懸念点に対する検討
・国や県に対しての働きかけも必要
などといった内容は、
今回の委員会の趣旨に沿わない、といったことから議論をすることができませんでした。
僕はそうした点も踏まえて議論すべきと思い発言もしたのですが、
最終的には篠原委員長のゴリ押しで却下された形となってしまいました。。。


市民が注目している市内の太陽光発電設備。
多くの方が傍聴にきてくれました。委員の一人としてとても心強かったです。
どうも有り難うございました!


追伸
今回の提言も踏まえて、是非皆さんの北杜市の太陽光発電設備に対する想いを市へ届けてください。
市長への手紙などで想いを伝えることも重要になってくるのかな、と思います。




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