6月議会を終えて、太陽光に関する条例への想い

先日、第2回北杜市定例議会が終わりました。
ブログの中で議会の様子をお伝えせず、すみませんでした。

ご存知の方も多いと思いますが、今回の議会では
有志議員による地上設置型太陽光発電に関する条例を議案として提出しました。
今回の条例の審議は特別委員会を設けて、そこで議論をすることになりました。

委員会にはいくつか種類があります。

1.常任委員会
議会に中で常に設置されている委員会。
北杜市では
総務常任委員会
文教厚生常任委員会
経済環境常任委員会
の3つがあり、議員はそのどこか一つに所属しなければいけません。

2.議会運営委員会
議会の日程などについて協議し、議会を円滑に運営するために設置される委員会。
北杜市の場合は、会派の代表や議会経験の豊富な方が所属するケースが多いようです。

3.特別委員会
ある議案のみを集中して審議したい場合に設置される、特別な委員会。
現在の北杜市の状況、議員提案の議案であること、
そして条例という重要な議案であることなどから、今回は特別委員会を設置することになりました。
今回の特別委員会では、議員22名全員で審議をしました。

また、様々な経緯があるのですが、今回僕はその特別委員会の委員長に選ばれました。
委員長は、その委員会の議事進行を不具合なく進めるための重要な役割を担っています。
中立の立場を保ち、委員長として意見を述べることは原則できません。
初めての委員長、そして特別委員会という重要な委員会での大役に、とても強いプレッシャーを感じていました。


今回、この条例に対して3日間に渡る審議がおこなわれました。
議員からは、内容に対する法的な根拠を求める質疑や、条例の内容が複雑で理解しづらい、
表現が曖昧で条文の内容を恣意的に歪められてしまう可能性があること、などの質問や意見が相次ぎました。
その結果、今回の条例は審議未了で廃案となりました。
・・・と、言葉で言うのは簡単ですが、よく意味の分からない方も多いかと思うので画像と共に説明します。



通常、議会に提出された議案(予算や条例など)は、審議を経てから採決をします。
つまり、可決か否決を決定する訳です。
ただし、例えば審議をする時間が足りなかったり、もう少し慎重に審議をする必要がある場合には継続審議というかたちで、
その議会中では答えを出さずに次の議会で改めて審議をする方法もあります。

そして、今回のケースはその両方とも違う審議未了。
審議未了とは、会期中に採決をせず、要するに結論も出さず、なおかつ次回の議会にも持ち越さないで結論を出すこと、つまりその議案を廃案にすることを言います。



委員会を終えた今、僕自身の今回の条例についての想いを述べます。
僕は条例を提出する議員と共に作成に関わってきましたが、条例を作る過程、そして委員会を通じた中で、
いくつか疑問に思うことができ、結果として条例に対して反対を表明しようと思っていました。

その理由は以下の通りです。
この条例が、これから申請をする新規の事業を対象としたもので、
すでに国から承認を受けている3,000件を超える工事前の太陽光設備には限定的な効力であること

場合によっては、新規の事業についても業者の意図的な悪意によっては歯止めにならない可能性もあること

これら点は議論の余地があると思います。
太陽光設備を規制することは、憲法の経済活動の自由を制限する事にもつながります。
ただし、そこで生活する方の環境権をおびやかす、という見方もできるので、
だからこその議論が必要だと思うのです。
要するに、様々な意見を聞く時間が必要だと思い、もう少し慎重に議論を進めた方が良いのではないか、
ということを有志議員には伝えましたが、少しでも早く無秩序に作られる太陽光設備に対して条例を制定して歯止めをかけたい、
という強い想いを持っていた議員の意見が多かったことから、今回の議会に議案として提出をすることになったのです。
その想いも確かに理解できるものです。

ただ、今回の進め方に関して、市民の声を聞く時間が少なかったことは大いに反省すべき点ではないか、と個人的には感じています。
また、行政や場合によっては業者、他の自治体にも話をする必要があると感じました。

太陽光設備に対して関心を寄せる方々の多くから「進め方がヒドい」というお叱りを受けました。

議員側の想いは、
あらかじめ条例の骨組みを作ってから、市民の意見を聞いて肉付けをしていきたい

また、市民からは
骨組みを作る段階から市民を交えて積極的に条例を血の通ったものにしたい

その両者の想いの食い違いが、結果として分断を生むような事態になってしまいました。
この点について、僕は本当に反省すべきことだと思っています。

市民の方々のその気持ちは十分理解できるもので、僕自身も本当にもどかしい気持ちでした。
もっとオープンに議論をして"開かれた議会"へ変えていかないと
市民の政治に対する関心がますます遠のいていく、と感じています。


ただし、今回有志の議員達が条例の作成をしたことは、たしかな一歩だと思っています。
この条例の発議を受けて、3日に渡る議論がおこなわれ、市としても今まで頑なに条例の制定に対して否定的だった姿勢が、
少しですが変化しました。
市の答弁の内容は、以下の通りです。

今回の特別委員会においてのご議論などを踏まえ、今まで担当レベルにおいて調査・研究を行ってまいりましたが、
担当の枠に留まらず、更には市民、事業者、議会、学識経験者などの関係者を交えた組織を立ち上げ、
再生可能エネルギー、特に太陽光発電設備に係る推進、規制の在り方など、
条例化も踏まえ調査、研究、検討などを行っていただきたいと考えております。
また、今、ご提案しました組織についても、早期の立ち上げを目指したいと考えておりますので、
ご理解、ご協力をお願い申し上げます。


この市の姿勢が今後どのような流れになっていくのか、しっかりと見つめていきたいです。

また、同時に使われなくなった森や耕作放棄地の活用方法などを、皆で練り上げていく必要も感じています。
使われなくなった畑を貸し農園として都会から人を呼び込む、森を適正に管理して切った材を家の建材として有効活用する、
などのワクワクするようなアイデアを皆で考え、実践していきたいです。


漠然としたイメージの中で、手探りをしながらになるのかもしれませんが、この流れを止めることなく進めていきたいです。



コメント

  1. お疲れさまでした。
    太陽光発電設置については 組織の立ち上げにしっかり関わり より良い方向へ進むといいですね
    「同時に使われなくなった森や耕作放棄地の活用方法などを、皆で練り上げていく必要も感じています。
    使われなくなった畑を貸し農園として都会から人を呼び込む、森を適正に管理して切った材を家の建材として有効活用する、
    などのワクワクするようなアイデアを皆で考え、実践していきたいです。」
    いいですね!
    ワクワクします!

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